design column no.2『ミニマムと知恵。そして、ドラクエ!?』

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最近気になること。2000年を過ぎてからスマートフォンの復旧によりゲームもより身近なものになりました。電車など移動中にゲームをする姿もよく見ます。ふと気になってNETを見ると新しいゲームがオンラインゲームになっています。懐かしさのあまりにドラゴンクエストを見てみると案の定、新しくなって今も残っています。そんなドラゴンクエスト。子供の頃に学校を休んでまで発売日前日に購入しに行き、毎日ゲームをする、親と駆け引きの約束(1時間だけor宿題を終わってから・・・)をしてゲームに熱中していました。時にはストーリーが進まなくて町中の人に「話す」をして、時には、レベルが足りなくて今日はレベル貯めに専念しようとして、時には、冒険の章が消えてカセットの裏を

「ふぅ~ふぅ~としてゆっくりと半分噛ませてスイッチon!!」して・・・

懐かしい記憶が浮かんできました。当時のドラゴンクエストはとても夢中になり面白く感じました。

このドラゴンクエストは、1986年5月27日に旧エニックスより発売されたファミリーコンピュータ用ロールプレイングゲーム(RPG)です。初代の「1」はわずか64KB。「2」が128KB。「3」が256KB、ファミコンでのラスト作であり、5章からなる「4」ですら512KBにすぎなかったのです。(ここで単位の説明です。iphoneで写真などを撮って時の容量は約4MBです。1MBは1000KBです。なので64KBは0.064MBです。)今、考えると「絶望的に少ない容量」「貧弱なグラフィックと音の仕様」で、大冒険活劇を描ききった当時のゲーム。当時は「その手があったか!」という工夫と、徹底した「データカット」で、限られたハード性能の中に厳選した内容を詰め込みました。いわば夢のある宝物ですね。

そもそもiphoneで撮った写真よりかなり少ない容量でこのような超大作ゲームをつくることができたのか?』

ゲームの命令は0と1で作られている命令と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?例えば、この文章も平仮名、片仮名、ローマ字、漢字と多くの種類を使えるようにすればするだけデータが大きくなります。そして、いわゆる1文字が最小のデータとなります。例えば、文字1文字を1KBとすると、このコラムは2000KBくらいになるでしょう。そのうちの重複している文字を省くと1000KBくらいになるでしょうか。なのでコラムも「あ、い、う、え、お」の5種類だけで構成すれば1000KBよりも少なくなります。とは、いっても「あ、い、う、え、お」だけで文章を作るのも至難の技です。

このドラゴンクエストの魔法の名前に注目してみましょう。ホイミやメラ・・・などよく分からない呪文がたくさんありますね。これ、実は文字を減らす工夫になります。カタカナはたったの「20文字」に抑えたのです。最初に呪文やモンスターへ自由に名前をつけて、使っているカタカナを洗い出し、頻度の高い方から20番目までの文字を選んで、そこに無い文字は別の文字に変更したそうです。結局、使えたのは「イ・カ・キ・コ・シ・ス・タ・ト・ヘ・ホ・マ・ミ・ム・メ・ラ・リ・ル・レ・ロ・ン」の20文字。これに「゛」(濁点)と「―」(音引き)の組み合わせを入れ、さらにひらがなと似た「ヘ」や「リ」などをひらがなと共通にすることで、さらに文字数の削減を図ったようです。そして、漢字を使えないので、ひらがなが続くときはスペースを空ける。ひらがなだけのスペースを多用した文章に、いちいち読点が入ると、とてもうるさいだろうと考え、読点を使わないことにします。同様の理由で、セリフの終わりを、【 】(カギカッコ)で閉じないことにしたようです。例えば『しんでしまうとは なにごとだ!』のように。

この工夫は文字だけではありません。音や描写関係に関しても工夫されてます。キャラに横や後ろを向かせると、その分の容量が使われてしまうので、常に前を向いています。そのため「カニ歩き」とされる独特の歩き方をしたり、音での恐怖感を演出する為にダンジョンの下へ行くごとに同じ曲で臨場感を出し、下の階へ降りるごとに音程が下がりテンポもゆっくりにすることで、かえって「洞窟としての恐怖感」を増すことなど。そう思うと、確かに同じ音楽でしたね。このように「ドラゴンクエスト」は爆発的にヒットしました。世の中が夢中になって面白いと呼ばれるゲームになり、音楽でもオーケストラコンサートにもなるくらいです。

「簡略化された世の中」
近年、ドラゴンクエストも含むゲームがより簡単に、よりストーリー展開が早くなってきました。それはプレイヤーが通勤や通学時間中にゲームを行うということから生まれてます。限られた時間内にストーリーを進める為には、レベル貯めや分かりにくいストーリーではユーザーが減ってしまいます。沢山の選択肢が出てきた時代柄わざわざこのゲームを選ぶ必要性がなくなったのだろうか。初期のドラゴンクエストやRPGゲームはすごく難しい。攻略本が出回り自力でストーリーを進めるのも難しい時もある。だからこそ全面クリアした時に何が起こるのだろうか?2周面はあるのだろうか?と想像を膨らませながら毎日やる続ける根気が全面クリアをした時に感動と優越感を覚えます。このことからふと、逆に感動やクオリティーを与えるには繊細な部分まで細かく緻密に計算して人を感動に連れて行く道を作らなければならないと思うことがあります。

「飾りつけ時代」
情報と選択肢がたくさんあり、デフォルトですでにできることが多い時代。それを「飾りつけ時代」と呼びたいです。今は芯が無くてもやったつもりになりやすい。苦労して「ドラゴンクスト」を全面クリアしなくてもYoutubeで全面クリアした映像が手に入る。本人は成果を出さなくても出したことがある人がいれば情報は手に入る。しかし、その感動は手に入らない。その想いは人に伝わらない。いわゆる経験した人のみが感動を得られるということ。知識と経験は失うことがないのに気づきます。

なぜ良いのか。なぜ楽しいのか。なぜ綺麗なのか。なぜ売れるのか。なぜ魅力的なのか・・・なぜの裏側に隠されていいる理由は知恵を絞って工夫するものがあるから、そこに努力というエネルギーがあるから人の心が動き、感じるのだと思います。美容も基礎を知らずにインスタ映えする動画は撮れます。しかしながら、アイロンで作られたヘアデザインはお客様が再現できるのか。お客様が簡単なのか・・・と。そして、ヘアデザインも知恵を絞って工夫するからこそ髪の毛一本一本に緊張感が生まれ表情を作ります。物事にはエネルギーが存在するから面白いですよね!!本当に小さなことですら知恵を絞ってアクションしているか、クリエイションをしているのかを自分にと問う今日この頃です。  西戸

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